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世遊名人対談 第23回 本田勝裕氏 本田勝裕氏写真

■プロフィール

本田[ポンタ]勝裕 氏  キャリアソリューショニスト

 就職、創業、進学をテーマにしたコンサルタント。1962年生まれ。神戸在住。1985年甲南大学経営学部経営学科卒業。同年、(株)学生援護会に入社し、11年間『an』の編集及び企画業務に携わる。また、学生・OL向けのイベント、セミナーもプロデュース。同社退社後、(株)クリエテ関西(あまから手帖版元)で広告企画部長を経て、1997年1月にキャリア・コンサルタントとして独立。

 現在は、企業や学生を対象に講演を行っている。また、キャリア支援ホームページ「ポンタのキャリアゼミナール」やメーリングリストを主宰。授業・講演実績約500本(90分単位・2012年実績)。社会人がお互いに学びあう学校、ポンタキャリアカレッジも主宰。 自分と組織の関係性、コミュニケーション能力、自分マーケティング能力などについてのセミナーが反響をよんでいる。理論背景はコーチング、ソリューションフォーカス、組織心理学。

 

(聴き手:ビズデザイン株式会社 取締役 友田 景)

(掲載日:2013/2/5)

 

ニッポン全国長屋計画からグローバル長屋計画へ

(友田) お久しぶりです。本田さんとは10年以上のお付き合いになり、十数年来、若者のキャリアに関わる仕事をされていますが、時代の経過とともに仕事の変化はありますか。

(本田) まいど。ひさしぶり~。

 好きなものとビジョンは昔から変われへんなぁ。僕が好きなもの、それは若者なんやねー。「なぜそんなに若者が好きなのか?」と理由をよく聞かれるが、根っから好きなのでコメントのしようがないわけ。

 ビジョンは「ニッポン全国長屋計画」。長屋では、悪いことしたら近所のおっちゃん、おばちゃんに頭を叩かれ、良いことをすれば褒めてくれた。その人の優位性、強みを引き出し合いながら生きていける、百花繚乱の構造をつくりたいというのが、僕のビジョン。長屋には二階がない。階層構造として、支配層と、被支配層の関係がないわけ。実はこのビジョンを少しだけリニューアルして、「ニッポン」から「グローバル」に変えたんや。知り合いの中にはインドや東南アジアで起業し、海外でのインターンシップや大学間提携などを進めている人もいる。世界中でグローバル化している時代やから、ビジネスも日本からもどんどんアジアにシフトしてきている。だから僕も学生が就職や進路が直接アジアってオモロイと思ってるわけ。今はそれを実現したいという思いにすごく溢れているわ。だから今のビジョンは、「グローバル長屋計画」なわけ。

(友田) なるほど。よく最近の若者は内向きといった言われ方がしますが、視点は世界に広がっているわけですね。変わらず仕事のベースとしては、大学での授業を中心に動かれているのでしょうか。

(本田) 事業内容については、起業当初から変化があったねー。かつては、大学生の就職支援や起業支援に特化していたけど、「キャリアデザイン」という言葉がフィーチャーされるようになり、キャリアデザインが授業化されるまでになったわけ。現在は、4つの大学で、非常勤講師として「キャリア」に関する授業をしていて、大学1、2年生も対象にした授業も開講している。僕自身は、生涯学習という言葉があるけど、スタンスは生涯学生であることが大事だと思っているので、組織心理学とコーチングの最先端理論であるソリューションフォーカスの理論と実践は学び続けている。

本田勝裕氏写真1

 

「Jazz in my class」.「Jazz in my life」

(友田) Facebookなどで本田さんを拝見していると、完全に公私混同で仕事をしている感がありますが、その方が働きやすいですか。僕もかなり公私混同している感があって、それが自然体なのですが。

(本田) そうそう。僕は会社の経営者でもあるため「9時~17時勤務、週末が休み」という発想がないので、完全に公私混同してます。これがまた楽しい。仕事でつながった方々ともプライベートでも仲良くさせてもらっている人もたくさんいるし、仕事とプライベートを分けるということに全く意味がなくなってしまった。人と熱く語り合うことが好きやから、この前は洋服をオーダーしたお店の店員とキャリアについて語り始めてしまったら1時間以上で、一緒に行った嫁はんに怒られた(笑)。

 混合というと、僕が参加しているソリューションフォーカスのカンファレンスが、イギリス・オックスフォードで開催されたとき、ジャズのセッションによる分科会があってん。そこにいたジャズのピアニストが「上手くなろうとするな。そこにあるものを使えばええねん。」って関西弁じゃなく、英語で言ってたわけ(笑)。そのカンファレンスの参加者で、セッションでピアノを担当することになったイギリス人の女性は、ピアノに触ったこともない人。彼女は素人やから人差し指で、一音ずつ鍵盤を弾いたら、彼女が弾く音に合わせて、プロのピアニスト、サックス、ベース、ドラムがリズムとメロディを奏ではじめた。3分くらいやったけど、それがメチャメチャ感動的な曲になってん。ピアニストが言っていた言葉「上手くなろうとするな。そこにあるものを使えばええねん。」がすごく説得力を持った瞬間やった。

本田勝裕氏写真1

 ジャズは指揮者がいない。そのときの空気感に合わせて、誰がリードするわけでもなくその中のメンバーが渾然一体となって、リズムとメロディを変えて創りあげていく。ソロをしたい人がいればその人に委ねて、他のメンバーとコラボレートしたりして、これがジャズの面白いところ。

 それで僕はキャリアカレッジの授業にも、このジャズの要素を取り入れてみた。学生に授業ゲストのリクエストを募って、企業の人事、ベンチャー企業の起業家、経営コンサルタント、SEなどゲスト18人を招いて、学生に訊きたいことを聞かせるような講義スタイルを展開した。ゲストを決めるところから学生に意見を出してもらい、学生が主体的に進行するスタイル。学生は主体性がないとよく言われるけど、主体性のある学生はより主体的になって、主体的とはいえない学生も徐々に主体的になって、気が付けば教室の前から席が埋まっていく授業となった。それぞれのプレーヤーに対して信頼をおいて、みんなで創り上げていく構造が授業でもできたことは僕にとっても新鮮な驚きやった。

 いまは、「Jazz in my class」だけでなく、「Jazz in my life」も目指してる。これまでもすぐに集まり、すぐ解散もできる雇用関係のないフレキシブルなチームで仕事をしてきたしね。ロックバンドは同じメンバーで一枚のアルバムを作り上げるけど、ジャズの場合は、アルバムによってメンバーが入れ変わる。お互い良い刺激を受け、いい緊張感も作られる、それがジャズの面白いところなんやねー。

 

21世紀のミッションは「異種を接続する」こと。それがイノベーションにつながる。

(友田) タイプや性格の違うものを組み合わせることが、想像できない振れ幅になって、面白いことができるということですね。僕もCSRなどの支援をしていて、ステークホルダー経営というような言葉が出てきていますが、組織の壁を越えたつながりや結びつきはまだまだ少なく、それが日本の閉塞感のひとつの要因になっていると感じています。企業同士もそうですが、政府・行政と企業、NPOなどセクターを越えた取り組みがイノベーションを起こすと考えています。

(本田) その感覚わかるわー。「黙って食え」と言う店主がいるラーメン屋があるけど、僕は苦手。美味しいラーメンを提供してもらったら、僕は関西人やから「これ、めっちゃウマいやん!」って言いたいし、店員の顔を見て「ありがとう。ごちそうさん!」って言いたい。それを個室に入って黙って食えと言うのは、今の社会の閉塞感の元凶の一つと通じるところがある。個性社会ではなく、個別社会。そしてコンビニエンスストアができ、お一人様ゲームが広がり、携帯電話ができ、便利な社会になった。便利になった反面、無関心な社会でますます個別社会になったと感じてる。さらにそれに追い打ちをかけたのが、個人情報保護法やと思っている。拡大解釈により、社会がより閉塞化した。「会いたい」がなくなり「会ってもいいのでしょうか」の社会。

 就職活動を例に挙げると、かつては就職活動の原則がOB訪問やったけど、今は大学でOB名簿もそのOB本人の了承がないかぎり自由に閲覧できない。就職サイトは広告によるビジネスモデルだから、本来サブメディアに過ぎないはず。メインのメディアは、自分で直接会って、取材して、怒られて、褒められて、そこで人間関係を構築すること。それがどんどん便利な社会を作った結果、メインとサブが逆転して、考えなくていい社会、しかも個別社会を構造化してしまったと思っている。

    

 それを打破するキーワードとなるのが「接続」。「絆」はいい言葉やけど、情緒が入ってしまう。「接続」は主観的な表現ではないので、僕は好きな言葉。異種の接続ができると、オモロイことが起こりうる。

 異なったものをどのように組み合わせて再編集して接続することが、21世紀初頭に生きている日本人のミッションではないかと思ってる。今や携帯電話にカメラ付きは当たり前やけど、元々は別物やった。再編集には既存のものを組み合わせるデザイン力が必要。それは人でも同じやと思っていて、自分の人脈を有機的に接続していくとビジネスチャンスが見出される。最高のチームではなく、最適なチームが必要なわけ。興味があるものが異なれば話題もない。裏を返せばたった一つでも興味のあるものが共通すれば、個性や価値観が異なる者同士がつながり、チームがカラフルになるということです。そんなチームでアジアを舞台にビジネス展開しようと取り組み始めてる。

本田勝裕氏と友田景

 

勇気があれば自信はいらない。後は少しの好奇心。

(友田) 本田さんのお話を聞いて、今は多くの場合、企業に雇われて、同じ場所で同じ人と働き続けていますが、これからは、企業に雇われていたとしてもジャズのようにプロジェクトごとに色々なメンバーが変わってチームで働いてくことが働き方の中心になっていくと実感しました。

 アジアでは面白い展開ができそうですね。ただ、アジアや世界に出ていきたいけど、足踏みする若者は多いと思います。そんな若者に対して、メッセージをお願いします。

(本田) 僕は社会人としてやっていけるか全く自信はなかった。ただ、勇気と好奇心はあった。自信はあとからついてくるもの。小さいステップを踏めば、小さい自信ができる。だから自信がないなんて言わんでいいねん、あたりまえやから。ちなみに僕は小さいときは、喘息もちでひ弱で、いじめられた時期が長かった。社会人になってから、鬱になって橋の上にも立ってた。そのおかげで気持ちの弱い人の気持ちもわかる。そんな経験があったから、いろんな人の気持ちがわかりやすいし、今の仕事ができていると思ってる。海外へ飛び出すのも同じやと思う。みんな弱気になる経験があったはず。その経験を「使えるもの」にすればいい。大きくマイナスに振れたら、その分だけプラスに振れる。メトロノームの法則またはスウィングの法則とでも言おうかー。だから自信はいらない。勇気と少しの好奇心があれば、失敗しても必ず立ち直れるし、やりなおせるし、道は開ける。

(友田) そうですね。現首相も一度は失敗をしています。誰だって失敗するし、もう一度表舞台に出てくるのは勇気が必要やったと思います。だから失敗したって、誰だって再チャレンジをすればいいですよね。日本がチャレンジで溢れる国になると閉塞感は打破できると思っているので、コンサルタントとして、個人や組織でのチャレンジ支援を続けていきます。

 本田さんのアジアでの展開を楽しみにしています。本日はありがとうございました。

 

※ご講演等のお問い合わせ、本田勝裕氏へのコンタクトは、弊社までご連絡下さい。

 

 

 

  

  

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