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世遊名人対談 第20回 深井仁美氏 深井仁美氏写真

■プロフィール

深井 仁美 氏  有限会社デコデコ 代表取締役、NPO法人日本フェイスペイント協会 代表理事

 1999年パフォーマンスユニット「デコデコ」結成。2002年の日韓開催FIFAワールドカップサッカー大会では、全国10都市の大会会場内でフェイスペインティングを実施。2007年には、フェイス・ボディペインティングの世界大会「Face And Body Art International Convention」で優勝。2010年にボディペインティングを制作担当した日清食品「カップヌードルライト」のテレビCM(モデル高垣麗子さんのカップヌードルボディペインティング)が注目を浴びるなど日本のフェイスペイント・ボディペイントの第一人者。横浜商工会議所女性会、横浜商工会議所金沢若手産業人交流会で活動し、経営者として社会活動にも積極的に参加。第1回よこはまグッドバランス賞を受賞するなど各方面から高い評価を受け、国内外で活躍中。
 

有限会社デコデコ  http://www.decodeco.jp/

NPO法人日本フェイスペイント協会  http://facepainting.jp/

 

(聴き手:ビズデザイン株式会社 取締役 木村 祐子)

(掲載日:2012/6/26)

 

◆日韓W杯サッカー大会が、フェイスペインティングの世界を変える!

(木村) 深井さんは、サッカーなどスポーツの観客が応援するチームのロゴや国旗などを顔に描くボディペインティングに関して、会社とNPOの両方の代表をされていますが、活動フィールドの切り分けをどのようにされているのでしょうか。

(深井) 会社の有限会社デコデコは、フェイスペインティング・ボディペインティングのプロフェッショナルな人材を抱えています。企業が広告やイベントの集客として、フェイスペインティングを活用したい場合にプロのアーティストを派遣しています。デコデコが抱えるアーティストは、現在は約30人います。

 NPO法人日本フェイスペイント協会は、主にフェイスペインティングの普及が目的です。フェイスペインティングを自分で楽しむための活動する人を応援しており、具体的には、フェイスペインティング専用絵具等の道具の販売や技能検定を行っています。現在、NPO法人の会員はメルマガ会員を含めると全国に約1500人います。会社と違って、NPO法人では会員のマネジメントを基本的にはしていませんが、地域の社会貢献的なイベントなどで、フェイスペインティングをやってもらいたいが、どうしても予算がない場合などにおいては、会員へボランティアの協力依頼をしています。

(木村) 深井さんが、NPO法人を設立されるには、どんなキッカケがあったのでしょうか。

フェイスペインテイングの絵具

(深井) 現在、サッカーW杯ブラジル大会の予選で盛り上がっていますが、10年前の2002年に日韓共催でW杯がありましたよね。その決勝戦が、ちょうど地元の横浜で開催されるので、このチャンスを逃してはならないと思いました。ただ、小さな会社ですので、どう考えても自分たちだけでは対応できない。それに行政も絡めてもっと大きな展開ができないかと考えていました。行政との連携、そして多くの人が関わってもらえる組織として、任意団体の「横浜フェイスペインティング協会」を設立しました。これが、後にNPO法人日本フェイスペイント協会になります。2002年サッカーW杯では、日本国内10都市の会場内で、約5万人にフェイスペインティングを実施することができました。

(木村) W杯サッカーは、日本のサッカーだけでなく、日本のフェイスペインティングにも大きな影響があったのですね。

(深井) そうですね。デコデコを立ち上げた当初からフェイスペインティングをやっていく中でジレンマを感じていました。それは、プロフェッショナルなアーティストとして高いレベルの仕事を追及していくことと、純粋に楽しんでフェイスペインティングをすることの両方の気持ちがありました。予算がない老人ホームから「フェイスペインティングやってください!」と依頼されたら仕事として成立しなくてもやっぱりやりたい。その境界を引くためにフェイスペインティングから広がる楽しさを知ってもらうことを目的としたNPOを立ち上げ、活動しています。

深井仁美氏

 

◆ネイルアートからフェイスペインティングへ

(木村) 深井さんのお話を聞いているとそれだけで、フェイスペインティングの楽しさが伝わってきますが、深井さんはフェイスペインティングとどのようにして出会われたのですか。

(深井) 実は、プライベートなことですが、17年ほど前、2人の子どもを育てていくために手に職をつけようと思っていた頃、当時日本ではまだあまり知られていなかったネイリストの仕事があることを妹から教えてもらいました。小さいころから絵を描く事が大好きで、大人になってからも続けていた私は、ネイルアートが職になるなら、自分に向いていると思い、選びました。日本ではまだ資格がなかったので、ニューヨークで資格を取りました。そしてネイリストとして仕事をしているときに、「野毛大道芸」でのフェイスペインティングの依頼が舞い込んできました。この出会いが、日本では馴染みの薄かったフェイスペインティングの世界にのめり込むきっかけとなりました。

(木村) 深井さんがそこまでのめり込むフェイスペインティングの魅力はどこにありますか。

(深井) フェイスペインティング・ボディペインティングは、単に彩りを添えるだけでなく、国やチームの団結や気分を盛り上げ、また、遊び心や啓発活動などその使い方も多様です。言葉を必要としないコミュニケーションツールとして、老若男女、上手下手に関わらず気軽に楽しむことができます。横浜商工会議所金沢若手産業人交流会では、地元の区民祭りを盛り上げるために経営者の皆さんがフェイスペインティングのコーナーを設けて、大人気のコーナーとなっています。お客さんからの「ありがとう」の一言に癒されて、今年で5年目の出展になります。また、大阪府内の各青年会議所でも同様、経営者の皆さんが仕事が忙しい中、一生懸命練習して、検定を受けています。

 また、ボディペインティングになるとアーティストだけでなく、モデルとの共同作業になります。その表現方法の深さや幅の広さを知ると止められなくなりました(笑)。

(木村) そんな楽しいお仕事と出会われて、仕事も育児もNPO活動も立派にされたことが評価されて、横浜市の第1回『よこはまグッドバランス賞』を受賞されたのですね。

(深井) 育児を決して立派にしているとは言えないのですが、名誉な賞を頂きました。ですが、受賞した後、『よこはまグッドバランス賞』の受賞企業と表記して採用広告を出し、沢山の応募をいただきましたが「自由に仕事を休める。融通を利かせられる会社だ」と思ってきた人が多かったのか、その時に採用した人は残念ながら今は誰一人残っていません。 私は自分で会社を経営するようになり、仕事を最優先にしてきました。そのために子どもの運動会も出られませんでした。仕事に関する責任と融通を利かせる権利とはセットだと思います。女性だからでなく、人として当然なこと。そこを甘えて履き違えてはいけないと強く感じています。ただ、スタッフや家族、ご近所の方々には子育てを助けて頂き、いまでも本当に感謝しています。

深井仁美と木村祐子

 

◆生まれる前からアートな表現者をつくりたい!

(木村) そんな強い気持ちと責任感でお仕事をされてきた深井さんの今後の夢や目標はどんなところにありますか。

(深井) ここ2~3年は、子ども達の受験があったこともあり、子どもと向き合う時間を多く取っていました。そのため仕事のペースは少し落ちています。プロのアーティストとしてクリエイティブな仕事は本当に楽しいのですが、生活するためのお金があるのならば、フェイス・ボディペインティングの普及活動にもっと力を入れたいと思っています。まだまだフェイスペインティングの認知度は低いのが現状です。日本中の小学校の美術教育にフェイスペインティングを導入してもらいたい。欧米のように教室にフェイスペインティングの絵具を置いてもらいたい。運動会では、みんながペインティングをして、グランドを走ってもらいたい。みんなが気軽に楽しめるアートを広めたいと思っています。

 ハリウッドセレブなどの影響もあり、最近、妊婦のお腹にペイントする『ベリーペイント』が流行っています。妊娠中に大きなお腹を人に見せるのはなかなか抵抗がありますが、私も2人の子どもを出産した経験から、これから母親になる妊婦さんが赤ちゃんに託している想いは、言葉に尽くせないほど色々とあることを知っています。ベリーペイントをすることでそんな想いを伝えるお手伝いができればと思っています。子どもが大きくなった時、写真に残された母親の想いを知ることで、何かを感じてもらえたら嬉しいです。『ベリーペイント』は、お母さんとお腹の赤ちゃんとの共同作品ですからね。私の勝手な想いですが、生まれる前から表現者であることで、アートな人生を歩むきっかけになってもらいたいと考えています。これからもみなさんと楽しみながら『フェイスペインティング』をやって行こうと思っています。

(木村) 深井さんのポジティブな姿勢に大いに刺激を受けました。私もこれからはもっとアートな人生を歩んで行きたいと思います。本日はありがとうございました。

 

※フェイスペインティング・ボディペインティングについてのお問い合わせなど有限会社デコデコ、NPO法人フェイスペインティング協会、及び深井仁美氏へのコンタクトは、弊社までご連絡下さい。

 

 

 

  

  

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