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世遊名人対談 第17回 株式会社リヴァックス 代表取締役 赤澤健一氏 赤澤健一氏 写真

■プロフィール

赤澤 健一 氏  株式会社リヴァックス 代表取締役社長

 1961年兵庫県生まれ。同志社大学大学院博士前期課程修了(修士)。1984年大栄サービス株式会社(現株式会社リヴァックス)入社。2004年代表取締役社長就任。現在に至る。

株式会社リヴァックス  http://www.revacs.com/index.html

 

(聴き手:ビズデザイン株式会社 取締役 友田 景)

(掲載日:2011/11/1)

 

◆社員36人の会社が賞を総なめ。『徹底した情報公開が取引拡大に』

(友田) 社員36名の中小企業の御社が、56ページからなるCSR報告書を作成していることはさることながら、大企業を押しのけて環境省や東洋経済新報社が主催する環境報告書の賞やその他の環境関連の賞など総なめにしていることにまず驚かされました。

(赤澤) お陰さまで、ここ5年ほどで色々な賞を頂きました。CSR報告書の前身となる環境報告書を作り始めてからちょうど10冊(年)になりました。はじめは恥ずかしくて外部に出せるようなものではなかったのですが、3冊(年)目からようやく納得できるものが作成できるようになりました。毎年の積み重ねで改善を加え、レベルアップしていった結果だと思っています。

(友田) グッドニュースのいいことばかりを並べたCSR報告書はよく見かけますが、御社の報告書は顧客からの苦情や環境事故、労働基準監督署からの是正勧告などバッドニュースを正直に書かれていることにも大変驚きました。

(赤澤) 恐らくその辺りは、他社と一線を画していると自負しています。弊社のビジョンに「日本で一番遵法性と透明性の高いビジネスを目指します」と掲げている以上、ネガティブ情報を出さないと嘘になりますので、情報開示は報告書の肝であると考えています。取引先や同業他社などからは、「本当にこれだけしかないの?」と驚かれます(笑)。ちゃんと報告することが信頼性に繋がっていると感じています。弊社の報告書は、全てPDFにしてWEBサイトにアップしていますが、実際にこれまで全く接点がなかった企業から「こういう物をちゃんと作っている会社は信用できるよね」と見積もりの依頼があり、取引につながりました。

(友田) 真摯な姿勢が評価されるということですね。そうなれば、社員もミスを隠すことをしないですよね。

(赤澤) 社員が1千人、1万人いる会社ならミスを隠すことはできるでしょうが、36人の会社なら隠すことはできません(笑)。それにCSRに取り組んで報告書を作り公表することが、しっかりと会社の評価につながると社員も実感しており、社員皆がCSR報告書を出来上がることを楽しみにしています。初年度は300部の印刷でしたが、近年は5000部印刷して、取引先、行政関係者、金融機関や地域住民の方々などに配布しています。そのような姿勢を評価して頂いているのか、取引先の食品業界からはかなり認知されるようになりました。大手メーカーをはじめ様々な業種、業態の環境担当の方からもどこかで接点を持ちたいと言って頂いています。報告書を見て、「リヴァックスはいい会社かも」といいイメージを持ってもらえたら十分成功だと思っています。

(友田) そのように会社の評価が上がり、業績に直結するようになるとCSR報告書の配布を社員が楽しみにするのも当然ですね。

リヴァックスのCSRレポート

(赤澤) そうですね。CSR報告書に掲載している出前授業や農業体験などのイベントには、社員は率先して参加してくれ、農業体験にはお取引先なども参加してもらっています。社員をはじめとして、できるだけ多くのステークホルダーに報告書に登場してもらうようにしています。報告書は、当初から社内で作成していますが、昨年度は2名のインターン生(大学生)が報告書の作成に携わり、外部に委託することなく、実質的に第3者を入れて作成しています。CSR報告書は「自分たちの想いの発信」だと思っています。ステークホルダーとのコミュニケーションの手段として非常に重要だからこそ、拙くてもいいから自分たちの手で自分たちのやっていることを率直に書いています。それを外部のステークホルダーから意見・反応の評価を受けて、自分たちの活動を見直す。それがCSRの基本であり、本質だと思っています。

 

ゴミを買う時代がすぐそこにある。『廃棄物処理会社から資源供給会社へ』

(友田) 徹底した情報公開をはじめとして、ISO26000で重きを置かれているステークホルダーとの結びつきを強めるステークホルダーエンゲージメントにしっかりと取り組んでいることがよくわかります。ところで話は変わりますが、日本経済全体が右肩下がりであり、産業廃棄物という業種も製造業の海外流出等の影響で、将来的に非常に厳しい業界だと思いますが、今後の方向性はどのように考えておられますか。

(赤澤) 弊社の2つめのビジョンに「廃棄物を資源化(中間処理)し、社会(市場)に供給する『資源供給会社』を目指します」と掲げています。数年前までゴミとして捨てられていたプラスチックも今は資源として取引されています。食料、化石代替エネルギーなどがこれからの廃棄物ビジネスのキーワードになります。化石燃料の価格上昇に伴い廃棄物そのもののエネルギーとしての価値も上がります。食に関しても、世界の人口増加や国内の自給率の低下を考えれば、生ゴミでさえ貴重な資源の一つになるはずです。弊社は、主に食品製造工場から発生する動植物由来の廃棄物を燃料に加工し、セメント会社等へ供給しています(バイオマス燃料化事業)。従来の事業領域は、「廃棄物の処理」でしたが、現在は「燃料の製造」へとシフトしつつあります。そのファーストステップとして「燃料供給会社」を目指しています。

赤澤健一氏 写真

(友田) 今は捨てられている全てのゴミが買われる時代が来るという先を見据えて、対応されているわけですね。また、社長として会社の持続可能性を高めるために気をつけられていることはありますか。

(赤澤) 廃棄物処理業界だけではないと思いますが、未だに人(社員)をコストとして見ている会社が多いですね。働いている人は安い方がいいという見方をしてしまっています。我々の業界では、不法投棄等の法違反が大きな問題でありますが、ゴミを出す側と捨てる側が結託すればいくらでも違反行為をすることはできます。それをしないのは、人の判断です。これから生き残っていくためには人はコストではなく貴重な資源であると見なければならないと思っています。

 廃棄物処理業界は先ほどおっしゃられたように斜陽産業です。その中で成長のベクトルを定め、次のステージに上がるためには、社員をパートナーとして一緒になって事業を進めていくことが、今一番求められていると感じています。

 

ISO26000で、社会への対応力を上げる。『弱肉強食≠適者共存』

(友田) 赤澤さんの話を聞いていると本当に社員をはじめとして、ステークホルダーを大切にされていることがわかります。ステークホルダーエンゲージメントを含めて、CSR報告書もうまくISO26000のエッセンスを取りこみ中核主題に沿う形でまとめられています。経営におけるISO26000の有効性はどのように感じられていますか。

(赤澤) 従前から環境・社会・経済のトリプルボトムラインの考え方を基にCSR経営に取り組んできましたが、ISO26000はそれを精錬させる役割が大きいと感じています。2008年のリーマンショックで、弊社も大きな影響を受けました。それを契機に自分達の活動をイチから見直すことになりました。それまでは、自分たちの価値をお客様に提供しようとやってきていましたが、自分達が顧客にとって価値ある存在にならなくてはならないということに気付き始めました。それで、会社のミッションを再認識することから始まり、ミッション、経営理念を見直して、それを具現化のために社名を変えようということになりました。

 弊社はReduce, Reuse, Recycleの3Rの他、Resource, Reverse, Restructureなどをキーワードとして、お客様のニーズから新たな事業機会を見出し、枠組みを越えて再構築、事業化する取り組みを行ってきまし た。その結果として、社会やお客さまがValue(価値)あると感じるものをMax(最大限)にすることであると考え、活動を通じてCommunity (社会)とCustomer (お客様)にSatisfaction (満足)を提供し続ける存在でありたいと考えます。そんな想いを社名『REVACS(リヴァックス)』に込めています。

(友田) ISO26000の7つの原則のひとつに「ステークホルダーの利害の尊重」がありますが、特に顧客視点に立った組織の見直しを行われたわけですね。ご存知の通りCSRは、「Corporate Social Responsibility」の略から「企業の社会的責任」と訳されていますが、それは適切でないと考えています。「responsibility」という単語は、そもそも「response」と「ability」の造語です。「response」は、“反応”や“対応”で、「ability」は“能力”です。つまり、「対応する能力」ということになります。なので、CSR は「企業の社会への対応力」とする方が実態に合っていると思っています。そういう意味で、CSRは経営そのものだと認識しています。赤澤さんの話を聞いて、それを地でやっているのがリヴァックスさんだと感じました。

赤澤健一氏と友田景の写真

(赤澤) そうですね。経営というのは弱肉強食ではなく、適者共存だと思っています。市場に対する対応力を持ち、それを上げることができていなければ、非常に危険ですね。その確認のツールとして、特に守りの部分が網羅的に作られているISO26000は非常に有効だと感じています。インターネットで情報が一瞬で世界まで行き渡る世の中ですから色々なところに配慮しないといけません。そういう意味でCSRに取り組まないことは怖いと思います。CSRに取り組むことで、確実に社会への対応力は上がっていることを感じますし、その積み重ねが会社全体に着実に浸透してきています。

(友田) かつては、コストセンターという認識だったCSRが、経営のど真ん中に位置付け取り組むことによって投資となり、価値を作り出して、お金を稼ぐための有用な道具へと変貌を遂げていることが赤澤さんの話から実感できました。リヴァックスさんのようなCSRが価値を生み出す企業をひとつでも多くできるように支援していきたいです。本日はありがとうございました。      

 

※CSRについての講演など株式会社リヴァックス、及び赤澤健一氏へのコンタクトは、弊社までご連絡下さい。

 

◆WEBサイトからCSR報告書がダウンロードできます!

 株式会社リヴァックスのWebサイトから最新の2011年版を含め過去6年分がダウンロードできます。是非、「株式会社リヴァックス」のダウンロードサイトからご利用下さい!

 

 

  

  

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