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バリューブックス http://www.value-books.jp/

1983年生まれ。長野県千曲市(旧 戸倉町)出身。幼少よりサッカーをはじめ、高校までサッカーづけの毎日。高校卒業後、東京の大学に進学を機に上京。大学2年の夏休みを利用し、単身ニューヨークへ渡る。1ヶ月ほど滞在。そこでの出会いや経験が転機となる。帰国後経営に興味を持ち、本を読み漁る。大学を卒業と同時にインターネットでの本の販売事業を立ち上げる。その後、仲間4人と2007年7月株式会社バリューブックスを設立。現在、「本」と「出会い」をテーマに活動中。

 バリューブックスコーポレートサイト http://www.valuebooks.jp/

 中村大樹ツイッターアカウント http://twitter.com/taikinakamura

 

(聴き手:ビズデザイン株式会社 取締役 友田 景)

(掲載日:2010/12/14)

“もったいない”を有効活用したい

(友田) まず御社の事業をご紹介下さい。

(中村) 古本の買取専門のWEBサイトを運営し、日本全国のお客様より宅配便を使った買取サービスを展開しています。買い取った本は大手ECサイト等に出店し、インターネットによる無店舗型販売の形態で販売しています。社会貢献事業として、買い取った本のうち、売れなかった本、市場価値の下がってしまった本は再利用していただけるよう様々な施設へおかせてもらう 『book gift project』や、ご提供いただいた本の買い取り価格相当額をご提供者の意思に沿う活動をしているNPO団体に寄付する『キフボン・プロジェクト』 などの事業を行っています。

 また、『ブックレイジングプロジェクト』などキフボンの仕組みを他のNPOさんにご活用いただく取り組みも始まっています。

(友田) 社会貢献活動をはじめられたきっかけはどのようなことだったのですか。

(中村) 1年半ほど前に開始した『book gift project』が最初だったんですが、買取りしても発行部数が多く人気の出た本、例えばハリーポッターのような本はあっという間に市場価値が下がってしまいます。また売れ残ってしまう本も大量に出てしまいます。このような本はこれまで廃棄処分していたのですが“もったいない”と感じ、これらを有効活用したいと考えて、老人ホームや保育園、学童保育、病院などに本棚を設置して読んでいただけるようにしました。また長野県で倉庫業務をしていますが、そこで働く人達にもやりがいを感じてもらいたいと考えました。例えばアルバイトの子のおばあちゃんが通っている老人ホームにその子の会社から寄付された本がある、または主婦のパートさんのお子さんの保育園に会社の設置した本棚がある、というのは働いているスタッフに取って、ちょっとした誇りになるのではないかと思いました。

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(友田) それは働いているアルバイトも喜びますし、会社を誇りに思いますよね。ところで、本の買取金額でNPO活動を支援する寄付にする事業はどのように始まったのですか。

(中村) 「キフボン・プロジェクト」は NPO法人「育て上げ」ネットを支援する事業ですが、理事長の工藤啓氏をNPO法人「侍学園」理事長の長岡秀貴氏に紹介いただいたことから始まりました。そもそも長岡氏は高校の恩師で昔から付き合いがあるのですが、『book gift project』により「侍学園」にも本を提供していて、もっと踏み込んだ形で一緒に何かできないかと考え、お互い無理なくできる形を模索して立ち上げたのが経緯です。

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中小企業だからこそCSRを実践する

(友田) 御社で社会貢献事業の占める割合はどのくらいですか。

(中村) 全体の買い取り総数の5分の1くらいまでになっています。これまでアプローチ出来ていなかった層にNPOを通じてアプローチできるようになり利用者が増えています。

(友田) 取引先ではなかったところが新たに加わったということは素晴らしいことですね。

(中村) 当社は、古本の買い取り金額を他社と比べて比較的高く設定していますが、 それでもすべてのお客様にご満足いただく事は出来ていません。一方で「キフボン・プロジェクト」 などでは、本の買い取り金額がそのままNPO等へ寄付にまわり、提供者にお金が全く入らないにも関わらず、すごく満足してくれる人が多くいます。

(友田) 中小企業でもCSR活動を行っており、それが本業に結び付いている、企業の成長につながっている素晴らしい事例だと思うのですが、後発の中小企業が大企業に対して勝てる所はどのような点だと思いますか。

(中村) 中小企業が従来型のCSRという考え方で、「本業とは直接関係ない慈善活動」や、「本業を通じた社会貢献(商品売上の一部を寄付など)」ある意味、犠牲を払って取り組むのは難しいと考えていますが、事業としてマーケティングと連動してうまくやっていくことができれば中小企業での取り組みの方が会社としての見え方、イメージにつながりより早く効果的にできていくように思います。この事業によって、 メディアから取り上げてもらう機会が増えましたし、宣伝広報の費用をかけずに認知度を高めることができたと思っています。

 今回たまたまNPO法人「育て上げ」ネットの工藤氏と一緒にやらせていただいたことで取り上げられる機会も多かったのだと思います。 今後も様々な団体とお互いのメリット、デメリットをよく理解した上でビジネス感覚を持ってパートナーシップを結べれば心強いと思います。

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(友田) 企業の社会貢献をお手伝いする『Book Donation』の導入は進んでいるのでしょうか。

(中村) 今企業に直接働きかけは行っていないのですが、NPOを通じて企業を紹介されるケースで進めています。大手外資系金融会社の社員の方が「育て上げ」ネットで支援している若者に対して面接の練習をするということが実現しました。その時の参加者の交通費は『キフボン・プロジェクト』の寄付金から支払われました。

 

◆寄付という行為の定着に向けて

(友田) そもそも若くして起業されたのは、何かキッカケのようなものはあったのでしょうか。

(中村) 創業は高校時代の友達5名で起業しました。起業に対して意識が変わったのは大学時代にアメリカ旅行に行ってからです。それまではなんとなく就職してサラリーマンになるイメージしかなかったのですが、アメリカで出会った人達に刺激を受け、道は就職だけじゃない、選択の道は多くあると気づき、起業が意識のなかに入ってきました。その頃高校時代の恩師が、NPO法人侍学園スクオーラ・今人の立ち上げをしていて、同級生も加わってやっているのを傍で見ていて、「何をやってるんだ?」と思う一方で、なんだか楽しそうだと感じたことも原体験として今の事業につながっていると思います。

(友田) 今は、火災炎上してしまった侍学園の復興支援のお手伝いを寄付という形でされていますね。『キフボン・プロジェクト』などの事業を継続していく上で、一度は寄付したけれども二回目以降は難しいということはありませんか。

(中村) 最初私もそのように予想していたのですが実際にはよく覚えていてくれて、大掃除のときなどまた寄付してくれる、ということが起きています。 不用品の処分で寄付につなげるのは現金を寄付するよりハードルが低く、とりかかり易いと思います。弊社に本を寄付したことをきっかけとして寄付という行為が広まっていけばいいと思います。また、今後は地方自治体や学校などとも積極的に連携を図っていきたいと考えています。いつかは、学校の図書室の一部に『バリューブックス文庫』などを作って、本を提供したいですね。

(友田) なるほど、それは夢がありますね。御社は、まさしく今話題のCSR3.0(社会的課題をビジネスチャンスと捉え、「企業利益」と「社会的課題の解決」)を実践されているのだと感じました。これからもこの事業の広がりが、本業を加速させていくのだと思います。本日は、ありがとうございました。

中村大樹さんが代表を務めるバリューブックスによる「ブックレイジングプロジェクト」及び「Book Donation」にご関心をお持ちの方は弊社あてご連絡ください。

中村大樹&友田景 写真

 

  

  

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