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甲田恵子 株式会社AsMama代表取締役CEO 甲田恵子写真

株式会社AsMama 代表取締役CEO http://www.asmama.co.jp/

1975年生まれ。大阪府出身。大学卒業後、特殊法人環境事業団勤務の後、2000年12月、ニフティ株式会社に入社。海外事業立上メンバーして、マーケティング・事業企画・渉外を担当。その後、IRを担当。2007年10月、ngi group株式会社に入社。IR室長として、グループ会社及び子会社の広報統括に従事。その間、プライベートでは2003年4月に結婚。2005年4月に長女出産。自身の出産、育児の経験から2009年11月に子育て支援・親支援コミュニティ、株式会社AsMamaを創業、代表取締役CEO就任。日本IR協会会員。PR協会会員。

子育て支援・親支援コミュニティAsMama http://asmama.jp/

社会起業家AsMamaけーこの育児と仕事と“わたし”の日記 http://ameblo.jp/asmamablog/

(聴き手:ビズデザイン株式会社 取締役・友田 景)

(掲載日:2010/9/14)

自己犠牲の上に成立する関係は、継続性がない

(友田) 甲田さんは、ご自身の経験から子育て支援、親支援のコミュニティビジネスを展開されていますが、コミュニティビジネスでは、組織形態として株式会社よりNPO法人を選択する方が多いように見受けられます。甲田さんが株式会社としてやっていこうと決められたのは、なぜでしょうか。

(甲田) 決して、NPOを否定するのではありませんが、日本では、まだNPOがボランティア的に思われている節があります。しかし私は、きちんと価値あることを社会に提供することによって対価を求め、そして頂いた対価を社会に再投資することによってさらに大きな価値を提供していく、、、こうして価値追求、対価追求の循環を生み続ける自分たちであることを社会に公言していきたいと思いました。また、この移り変わりの速い時代の社会問題を解決するためには、自由に敏速に事業活動を行っていく必然性があると思い、株式会社を選びました。

甲田恵子写真1

 私自身、学生時代にボランティア活動も多数携わりました。しかし、ボランティア活動と仕事が重なったある日、私は実利として対価をいただける方を選んだことがあります。その後、責任を持ってモチベーションを維持し続けていかなければいけない活動への従事こそ、自己犠牲の上に成立するのではなく、然るべき報酬が必要なのではないかと思うようになりました。

 株式会社として、価値のあるサービスをプロフェッショナルとして提供することで、対価を頂く、それをコミュニティの中で実現させることが重要だと感じています。

(友田) そうですね、確かに日本のNPOも進化しなければいけない部分ですね。では、社会起業家として、何か意識されていることはありますか。

(甲田) 自分自身が育児と仕事の板ばさみに悪戦苦闘した経験を活かした起業を考えるようになりましたが、立ち上げを決意したのは、社会問題について調べていくうちに、想像をはるかに超える数のお母さんたちの切実で多様な子育て支援ニーズを知り、その解決に社会使命感を抱いてしまったからです(笑)。しかし、事業としてやっていくためには、社会問題の解決と事業モデルが両立しなければいけません。また、“社会によさそうなことをする”のではダメで、“本当に困っている人の問題を解決し、それが社会的インパクトをもつ”ことが大事だと考えています。なぜなら“世の中が求めている”というだけでは、問題は解決しませんし、ごく一部の限られた地域でしか通用しない解決方法では社会問題解決にはならず、社会へのインパクトもありません。社会問題は、事業として取り組むことが難しいからこそ、現在の解決されない『社会問題』に繋がっているわけですから、事業性との両立は容易ではありません。だからこそAsMamaは継続的な運営を実現できるよう挑戦し続けたいと思っています。

甲田恵子写真2

◆多様化した社会では、最大公約数の効果は低い

(友田) 確かに世の中への広がりというのは、とても大事なことだと思います。NPO事業家にも持ってもらいたい考え方ですね。その広がりを考えて、バーチャル(インターネット)とリアル(地域活動)を使って事業展開をされていると思いますが、リアルとバーチャルの融合は、どのようにすると上手く機能するのでしょうか。

(甲田) これまでは、どちらかというとネット(バーチャル)が“主”で、オフ会と呼ばれるような活動(リアル)が“従”だったと思います。しかし、子育てのような安心感や安全性が第一に問われるフィールドでは、リアルな地域活動が非常に大事だと捉えています。

ですので、まず地域交流を育む子育てイベントなどを各地域で開催しています。そこで顔の見える関係を作っておいてから、ネットで継続的に情報交換や頼りあいができる仕組みを提供しています。

(友田) なるほど、これまでとは逆の発想ですね。ドメスティックな子育てといえば、行政に行きつくことになると思いますが、子育て支援(少子化対策)に関しては、子ども手当をはじめとして、新しい取り組みも見られますが、甲田さんが政府や行政に対して、求められることは何かありますか。

(甲田) これだけ時代が成熟化すると世の中のニーズは多様化してきます。これまでのように行政が行う画一的なサービスには限界があると感じています。これまでの右肩上がりの時代であれば、社会的課題を解決する最大公約数的なサービスが大きな効果を発揮しましたが、今は、地域や家族ごとによって、ニーズやウオンツは異なります。

こうした環境では、行政だけで質と量の両方を用意するのは、財政事情もあり、難しいはずです。だからこそ行政は、企業やNPO、個人等のあらゆるところとパートナーシップを結んで、問題解決に取り組んでいくべきだと考えます。しかしながら、前年踏襲の慎重な姿勢もまだまだ多く見受けられ、経験の浅い民間事業者や任意団体と横連携を積極的に持って頂けるところは少ないです。手を組むことでパートナーとして一緒にやれることが、たくさんあると思っているので、行政にはもっともっと門戸を広げてもらいたいです。

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◆相互支援がある頼りあえる社会へ

(友田) 甲田さんが、AsMamaを通じて、実現したい社会とはどんな社会でしょうか。

(甲田) 誰もが、育児も仕事もやりたいことも、思いどおりに理想どおりに実現できる社会です。そのためには、一人ひとりが自立して、自主的に頼り頼られる関係を地域や社会で持てていることが必要です。ところが、現在は、『頼りあえない社会』になってしまっています。15歳の子どもに「自分に頼れる人がいますか?」と質問すると1/3が「いない」と回答する現状です。これは、1人でがんばり続ける母親(父親もそうだと思う)を見て育った子どもたちが、知らず知らずのうちに『自分自身も誰かに頼ることなく独りでがんばらなくてはいけない』と思うことに起因するからだそうです。その結果、いざという時に、誰にも頼れず心がポキリと折れてしまい、鬱や自閉症といった別の社会問題を引き起こしています。

 子育てというのは、始めは誰もが初心者ですし、本当に大変なことって誰にでもにあると思います。でも、本当に大変な時なんて一時ですから、そんな時くらい頼りまくったって良いと思うんですね。最初は嫌がられるんじゃないか、厚かましい人だと思われるんじゃないかと臆しますが、驚くほどに誰かの役に立ちたい、子育てを応援したいと思っている人は世間にはたくさんいます。そうして、頼り頼られ、感謝し感謝されることによって、今よりももっともっと豊かで可能性のある社会を築いていくことができるようになると思っています。

 私は、AsMamaを通じて、私たち大人のために、そして次世代を担う子どもたちのために、相互支援による共存共栄が当たり前な環境を目指しています。昔は、隣近所の顔が見えて、地域のコミュニティがしっかりとしていたので、自然とできていたことかもしれませんが、今日においては、人工的にでもそうした地域コミュニティの活性化を促し、共に頼りあえる相互支援型プラットフォームを作っていく必要性を感じています。

(友田) そうですね、確かに地方自治体でも『自助、共助、公助のまちづくり』を行っているところも多く出てきていますが、一番課題があるのが共助の部分だと感じています。民間側からこのような動きがあることは、とても喜ばしいことです。今後の更なる社会へのインパクトを期待しています。本日はありがとうございました。

甲田恵子と友田景写真

 

  

  

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