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【ビズワード】 ジャーナリストの傲慢

投稿日時:2016年08月01日 00:15


ビズデザイン代表の木村です。

先週末は東京都知事選挙でした。
今回の候補者の中に、長きにわたってジャーナリストとして真実を追求し続けてきたということを自身の強みであるとした人がいました。準備不足とスキャンダルが敗戦要因であると分析しているようですが、果たしてそうなのでしょうか。

実は私も、かつて大学を卒業するころは新聞記者になることを目指していました。某全国紙の記者として内定ももらいました。ジャーナリズムというものについて憧れや敬意をもって自分なりに少しは勉強してきたつもりです。

今回のジャーナリスト候補者の発言で最も気になっているのは、以下のツイートです。
実際のツイートはここをクリック。

「急に出馬を決めたので、当初は確かに都政の知識が十分ではなかったが、私は51年現場でやってきた人間だ。3日あれば大丈夫だ。もう他の候補に負けないくらいの政策を出している。介護、中小企業、保育の問題などを中心に取り組む」

その昔、ジャーナリストを目指し、その後リサーチャーとして生きてきている私としては、この発言を見過ごすことはできません。ついでに言えば、行政マンとしても5年間を市役所で過ごした私としても同じく見過ごせない発言です。

「ジャーナリストとしての経験を行政に生かす」というアピールは構いません。しかし、「私は51年現場でやってきた人間だ。3日あれば大丈夫」というのはあまりにも傲慢です。百歩譲って、「都政に対する概括的な理解」が3日でできるというのであればまだわかります。ですが、明確に「都政の知識が十分ではなかった」ということについて述べた発言です。

こういうジャーナリストの傲慢は、実はこの候補者に限ったことではないように思います。もちろん、そうではない謙虚で真摯なジャーナリストも多くいらっしゃると思います。いや、むしろ多くのジャーナリストがそうでしょう。

私たちが直接目にするジャーナリストはTVなどでコメンテイターとして登場するような人たちです。そういう人に傲慢さを感じることはとても多くあります。政治家や経営者に対する記者会見での質問の仕方等についてもそうです。権力、権威に媚びることなく、恐れることなく鋭い切り込みをかけるのはジャーナリストの矜持でしょう。しかし、だからといって横柄な態度をとってよいということにはなりません。

この候補者は、親等の介護をするためにやむを得ず仕事を辞めなくてはならないということを指す「介護離職」を、介護現場での処遇の悪さによる介護職員の離職という意味で街頭演説していました。都政(行政・政策)の知識が3日では身につかないことのひとつの証拠です。その他にも、「え?」と思える発言が多く報道されていました。

敗戦の弁で「準備不足」を挙げていました。ですが、「3日もあれば大丈夫」と言っておきながら「準備不足」を敗戦要因に挙げること自体、大きな自己矛盾です。まあそのあたりはやや揚げ足取りにすぎません。「準備不足」、実際にはたしかにその通りでしょう。しかし、それ以上に、多くの有権者がこの候補者に「ジャーナリストの傲慢」を感じ取ったということもあるのではないかと私は思います。

メディアは社会における大きな権力のひとつです。ジャーナリストはその権力を行使している末端の存在であるといえるでしょう。だからこそ、人に対しても事実に対しても常に謙虚であることが求められなくてはならないと思います。

今後はジャーナリストとして都政をチェックする」と発言しているらしいですが、ぜひ傲慢にならず、謙虚に真摯に、しっかりと都政を勉強して、準備不足の報道にならないよう頑張っていただきたいと思います。

 

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