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【ビズワード】Cool Japanと日本らしさ

投稿日時:2015年06月22日 14:15

ビズデザイン代表の木村乃です。

日本ならではの魅力を海外に発信する。これはとてもよいことだと思います。日本に関心をもってくれたり、好きになってくれる外国人が増えれば国益にも適うでしょう。しかし、だからといって訪日外国人の増加を優先するばかりに、日本らしさを変容させていくことには賛成できません。保守的であれと言っているわけではなく、外国人の趣味嗜好に合わせて何かを作ったり、変えたりしても、決してその目的は果たされないと思うからです。

Cool JapanやVisit Japanが政策として標ぼうされるようになって、しばしば話題になることのひとつに「温泉や銭湯におけるマナー」があります。着衣による入浴の禁止、タオル(手拭)を浴槽に入れることの禁止など、日本における常識としてのマナーも、日本での生活経験がない外国人には理解できないことがあるようです。不便さを感じさせることもあるでしょう。温泉に入りたいけど、人前で裸になるのは嫌だからあきらめよう、という外国人旅行客もいるでしょう。そこで、外国人に日本をもっと楽しんでもらおうという趣旨で、タオルや下着をつけたままで入浴を認めるべきではないかという意見が出てくるわけです。

しかし、こうした習慣には日本ならではの衛生観念やコミュニケーション観念、すなわちCoolなJapanがその背景にあるのだと思います。そこを曲げてしまうことは、Cool  Japan を自ら否定することになるのではないでしょうか。和食でも、伝統工芸でも、漫画でもアニメでも装い(ファッション)でも、これらが外国人にCool だと感じていただけるその背景には、他国の人には到底理解できないような頑固な慣習、掟、精神性が潜んでいるものです。だからこそ、Coolという表現で敬意を示してくれるのでしょう。

私たちが異文化世界を訪れたときのことを思えばよくわかるはずです。千年、百年という時間をかけて守ってきた文化に根差した風景、生活様式、芸能・芸術などに私たちは感動します。私たちが、私たちの価値観を持ち込んではいけないのではないかという畏怖のようなものを感じることも多いと思います。長い時間、頑なに守ってきた文化です。日本人向けにアレンジされた場所やお店にはややしらけてしまうといこともあるのではないでしょうか。

異文化を理解していただく丁寧な説明をすることなく、観光客を増やすという経済的目的を果たすためだけにCool  Japanを自ら否定するような対応は、結果的に私達の文化に対する敬意を損なうことになってしまうと思うのです。

このことは、地域社会の魅力にも通じることです。観光客を増やそうとするあまりに、観光客が喜びそうな場所やコト、モノをつくります。そのことが観光消費を増やすことにつながることもあるのかもしれません。しかし、度を超して、地域社会の慣習、掟を逸脱するようなことをすれば、地域の人々はきっと傷つきます。お金は増えたとしても、幸せにはなれません。

そういう思いを強くしている私にとって、「ONLY in JAPAN」という日本を紹介する動画サイトを運営しているジョン・ドーブさんの着眼点はとても素敵なものに映ります。外国人向けではない、ありのままの日本らしさを再発見してくれています。ジョン・ドーブさんは、こうしたものこそが、日本らしさであり、外国人にとって面白いものだと言います。ぜひ一度、閲覧してみてください。

https://www.youtube.com/user/ONLYinJAPANWAORYU

 

【ビスワード】自治体が企業の取り組みを優遇するわけ

投稿日時:2015年06月10日 11:25

地方自治体が社会課題に取り組む企業を優遇する事例が出てきました。

ひきこもり対策で企業に税優遇 京都府、全国初の条例案 ヤフーニュース 京都新聞6月4日12時13分配信

京都府が、ひきこもりやニートを支援する「若者就職支援条例案」を府議会に提案。これまでも、横浜市、宇都宮市、さいたま市など、CSRや社会貢献に取り組む企業を認定、優遇する制度を導入している自治体はありましたが、個別の社会(地域)課題に対して、優遇する自治体は私の知る限り全国で初だと思います。

京都府が企業に対して協力を求め、税優遇する背景には、社会課題を行政だけでは解決できないことがあります。特に就労、就職に関しては、企業(事業者)の協力がなければ、雇用を生み出すことはできません。ひきこもり状態が長くなれば親も高齢化し、家庭の中で養っていくのが難しくなるため、社会的に自立できずにいると多くの場合、生活保護を受けることになります。ひきこもり状態が長期化すれば、自治体は福祉サービス(生活保護等)を受けるために税金を支出しなければなりません。自治体としては、予防的施策として、就労支援事業を行うわけですが、企業は履歴書にブランク(ひきこもり期間)がある人材を敬遠する傾向があり、なかなか就職に結びつかないわけです。

ひきこもりの状態にある人が働き始めることによって、税金を給付される側から税金を納める側に回ってもらえます。税収不足に困る自治体にとっては非常に大きなインパクトがあります。そのためには企業の協力が不可欠であるため、税優遇までしても協力を求めるわけです。ただ、税優遇が企業にとって、雇用のインセンティブになるかは疑問があります。これは企業の規模にもよると思いますが、中小企業にとって雇用は、コスト的にも時間的にも非常に大きなインパクトがあります。京都府の場合、税優遇とともに府の調達に関しても優遇があるそうですが、これは府と取引がある事業者には大きな動きが期待できます。

今回の条例によってどれほどの企業に動きがあるかわかりませんが、自治体が企業と共に社会課題に向き合う大きな一歩であると思います。京都府の場合、若者の雇用というテーマでありますが、全国各地には解決すべき課題はゴロゴロしています。その中には企業の協力によって、解決に向かうものも少なくないはずです。京都府に続く、自治体と企業の一歩踏み込んだ取り組みが出てくることを楽しみにしています。

 

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