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【ビズワード】 政治主導

投稿日時:2012年05月22日 09:49


木村乃です。

平成 24 5 6 日、「大阪市会大阪維新の会」宛に、「社団法人 日本自閉症協会」から要望書が提出された。大阪維新の会が市議会に提出しようとしていた「家庭教育支援条例」(案)に対する要望書である。同条例案第15条における「乳幼児期の愛着形成の不足が軽度発達障害またはそれに似た症状を誘発する大きな要因であると指摘され、また、虐待、非行、不登校、引きこもり等に深く関与していることに鑑み、その予防・防止をはかる」との条文、また、第18条における「わが国の伝統的子育てによって発達障害は予防、防止できるものであり、こうした子育ての知恵を学習する機会を親およびこれから親になる人に提供する」との条文の大幅な修正を含む全文の修正を要望したものである。

この要望内容はきわめて正当なものである、条例案が医学的正当性を欠いた内容であることは言うまでもない。大阪維新の会もすぐに同条例案の白紙撤回を決めた。

ここで、大阪維新の会が障害者差別をしている!といったことを主張する意図は全くない。家庭教育について真剣に考えたうえでの誤解または不勉強による顛末であったと思いたい。

私がここで問題にしたいのは「政治主導」のあり方について、である。

先日、とある自治体の副市長から相談を受けた。

「議員提案の条例が増えていることは、単なるチェック機関としての議会から政策提案できる議会に変わろうとしているという点では歓迎したい。しかし、その提案(条例案)が法令の体をなしていないことが多すぎる。違憲性、違法性、あるいは常識的に不適切なものであったとしても可決されてしまえば、これが条例となる。市長はその条例を執行しなければならない。しかし、そのような内容の条例を執行するわけにはいかない。執行しなければ「不作為」の誹りを受ける。このような矛盾あるいは問題がまかり通っている。」

これは誤った「政治主導」によって生じている事態である。

通常、役所が作成する条例案は役所内の法令審査部署がチェックをする。それに対して議員提案の条例は議会事務局がチェックすべきである。ところが、多くの自治体における議会事務局にはそのようなノウハウ、法令審査技術をもつ職員が配置されていない。従来は議員提案の条例がほとんどなかったこともあり、そもそも法令審査機能を備えることに対する問題意識すら希薄である。こうした事情が問題の温床となっている。

問題の発生を予防するためには、議員提案の場合であっても、市長の補助執行機関である法令審査部署に助言や協力を求める(公式に審査することには問題があるだろうが)ことができるはずだ。しかし「政治主導」の名の下、議員が一方的に条例案を固め、提出してしまうといった事態がまかり通る。

「政治主導」とは何か。政治理念を掲げ、その具現化策としての政策を示し、実行を制御すべく舵を切ることであろう。決して「役人の手を借りない」、「役人に口を出させない」ということではないはずだ。それでは「政治専横」だ。政治家とて万能ではない。官僚(公務員)の持てる知識とノウハウをうまく活用して、信頼のおける政治主導を確立してもらいたい。

 

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