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【ビズワード】文化と文化財

投稿日時:2011年12月20日 13:46

木村乃です。

「文化」ってなんでしょうか。僕は今から約10年前に、かつての上司でもあった野村総研(当時)の草野恵一氏の講演を聴いたとき、その答を得た。文化とは共通の様式のことである。僕はこれをアレンジして、「地域の『文化』とは、その地域において現在営まれている共通の生活様式のことをいう。」と定義し、まちづくりに取り組んでいる。

これと似て非なる概念として「文化財」がある。僕はこれを、過去の「文化」であって現在の営みと切り離されたものだと捉えている。したがって「文化財」は非日常の存在であり、また親しみや愛着を感じられることなく存在している。学術的価値は高かろうし、一部のマニアには堪らない魅力を感じるだろうが、一般の生活者にとってはさほど関心を持てるものではない。

僕は近年、地域ブランディングというテーマで講演をすることが多いのだか、そういうとき受講生から「うちのまちには魅力的な資源は何もない」といった声を頻繁に耳にする。そういうまちの観光パンフレットをみると、確かに面白くない。なぜそうなってしまうのかというと、農水産物以外の観光資源といえば「文化財」のことだという思い込みがあるからだろう。神社仏閣、名勝、旧跡。だから、聞いたこともないような無名の「文化財」をパンフレットに羅列している。そんなものに誰も興味は持たない。無名であっても、地元住民が日常的に祈りを捧げたり、散歩に行って堪能したりしていれば、それは「文化」である。その場合に紹介すべき情報は、人々の営みそのもの(=文化)であって、「文化財」としての価値ではない。

「文化財」ではなく「文化」ということにこだわれば、「何もないまち」はありえない。「文化財」だって、知恵を出しあってその存在を日常に取り戻せばもう一度「文化」として再生される。人が集まってそこに暮らしている以上、共通の生活様式は必ずある。ただ、それが地元の人々にとってあたりまえにすぎて、注目することがないために認識できていないだけだ。
地域ブランディングの第一歩は、地域の「文化」を今一度探索することだ。よそのまちの人の目を通して、自らの日常を改めて点検することである。そうした地道な作業を通じてこそ、持続力のあるブランディングが可能となる。

 

コメント / トラックバック 2 件

  1. 桝井 より:

    「文化」という言葉を聞けば、学芸員であった私も一言、お話ししないと・・・という事で、書かせていただきます。
    仰る通り、「文化」とは、「生活様式」と言っていいと思いますが、私は、もっとくだけて、「暮らしぶり」と表現しています。この様にすると、地域に限らず、個人のレベルにまで「文化」という言葉が身近になります。
    以前、「地球全体がミュージアムだ」とか、「地域をミュージアムとして捉えられる」とお話ししていたのは、「文化」に対する理解を、先述した様に考えているからで、従って、そこで暮らす人びとも、専門性のある学芸員として考えられる、という事です。
    最近は、「生活文化」もミュージアム、あるいは観光資源になりつつある事はご存知の事と思いますが、それゆえ、今は、こういった「文化や文化財」なども含め、「地域資源」と表現する様にもなっています。
    ちなみに、立ち上げのおり、コンセプト構築のお手伝いをした学会に、「日本地域資源学会」というのもできております。
    「文化と文化財」については、また別の角度から行政上の問題があるのですが、長くなりますので、いずれ別の機会にお話しさせていただきます。

  2. admin より:

    桝井さん。ご無沙汰しております。「暮らしぶり」。いい言葉ですね。早速、これかたはそう言い換えて使いたいと思います。趣旨はまさしくその通りです。桝井さんといろんな意見交換をさせていただいたことが、こうした考え方の下敷きになっています。ありがとうございます。「地域をミュージアムとして捉えられば、そこで暮らす人びとも、専門性のある学芸員」。このメッセージはとても大切だと思います。これもパクらせてください。行政上の問題。。。。これにも大いに関心ありです。ぜひご意見をメールでください。ご寄稿としてメルマガで配信させていただければ、とても嬉しいです。

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