HOME > スタッフ・ブログ 「世遊綽々」 > » 【ビズマガ連動】国是としての持家制

投稿日時:2010年07月27日 08:04
「狭いながらも楽しい我が家」、「兎小屋」、「夢はマイホーム」。
なぜそこまで自身の資産として「マイホーム」を欲しがるのか。その気持ちがぼくには全くわからない。
それどころか、このマイホーム志向、いや「マイホーム志向にさせている国家システム(国是)」こそが、不景気からの回復の障害となっているとさえ考えていえる。
そればかりではない。高齢者の棄民、少年犯罪の多発などにも大いに関係があるのではないかと推論している。
そもそも、何千万円もする住宅を買うだけの借金をする度胸がなぜ国民の多くに備わっているのか。土地神話があったバブル崩壊前ならまだわからなくもない。いわば、「投資」の対象でもあったのだろう。
しかし、いわゆるマイホーム志向の多くは「投資」マインドからくるものではないようだ。それが証拠に、住宅ローン残高はその上昇率が小さくなったとはいえ依然として拡大基調にある。景気対策の筆頭一番に「住宅ローン減税」が出てくるというのは皮肉なジレンマだ。家計を逼迫させている原因(犯人)が住宅ローンなのに、そのローン返済分を課税額から控除してくれる(減刑してくれる)という。これがあるばかりに、やはり住宅ローン残高は上がり続ける(再犯が継続する)。
「いつかはマイホームを買おうね」と若い夫婦が夢を語る。ようやく夫が35歳、中間管理職になった頃、そろそろ家計的にも安定してきたし、子供も小学校に入る。勉強部屋も必要だろう。足りない分は私がパートに出るから安心してね、と妻は献身的だ。夫は1時間以上も電車に乗って通勤。ローンもあるし残業もがんばらなくてはならない。せっかく勉強部屋を与えたのだから、しっかり勉強してもらわなくっちゃ、と子供に塾通いをさせるから教育費も馬鹿にならない。妻のパートは続いている。夫の帰りも遅いし、子供も塾だ。妻もパートで家事に専念するゆとりがない。家族そろっての食事もできない状況が続く。読みようによっては、家族みんなで助け合う微笑ましい状況だろう。
しかし、今のような不景気になったら、とたんに舞台は暗転する。一時帰休、解雇。ローンが払えない。マイホームを取り上げられる。借金だけが残る。こんな家族を増やすことが「国是」だとしたらとんでもない。
借家で支払う家賃の累積額とマイホームの支払額を比較するという単純比較をすれば、たしかにマイホーム支払額の方が小さいのかもしれないが、それは住宅ローン減税やその他の負担軽減措置があってのものでもある。借家優遇をすることによって、この比較は逆転するかもしれない。
そんな難しいことを言わずとも、要するに「分不相応な借金をさせて、金融機関の融資残高を増やし、建設業の仕事を増やす」という構図が国是としての持ち家制度なのだ。
(2009年02月12日09:17 「代表ブログ」掲載記事)
2010 年 7 月 27 日 10:45 AM
とても、良い視点で書かれていたので、面白く読ませて頂きました。
そうですね、木村さんの書かれているように、時代が特に通信分野などは、急速に進化しているのに、不動産に関しては文明開化されていない感じで、全く成長していないですよね。
根本的なライフスタイルの見直しが求められていると思います。
国や政治に依存しない、でも孤立するでもなく協調していく時代に
突入してきてるのかも知れませんね。
ありがとうございました。
2010 年 7 月 27 日 11:24 AM
近隣関係が難しい今日この頃、はたして定住する意味はなんなのだろうか?購入後、近隣にゴミ屋敷や、とても個性的で年中喚いているような人がいたらどうするのか?
それであれば、都合によりいつでも移動できる賃貸の方がいろいろな意味で便利なように思われる。
特に、三浦、横須賀では空き家が多く、賃料も大きさの割には相当安くなっている。単に需要が少ないだけだが。
その一方で、国民性というか文化的に持家のない人は一人前ではないという考えが強く、建設業の存続のため、そこをうまく政治家に利用されているような気がする。
建設業も、内需拡大は二度と起きないことを早々に悟り、海外に進出するか、無理なら、業種変更を図るべきだ。
2010 年 7 月 27 日 11:27 AM
木村です!
松本さん!高橋さん!コメントありがとうございます。
そうなんです!持家制度こそが諸悪の根源なのです!
(言い過ぎか?)
こういうテーマで一度大いに議論しましょうよ。
呑みながら。
2010 年 7 月 27 日 6:43 PM
お世話になっております。建築業界人として一言。
実になるほどと思います。無理にマイホームを
あおって、無理なコストで、無理やり家を作るという
業界の仕組み。これいらないと私も思う。
職人のアイデンティティが希薄になっている原因の
一つなのかもと思いました。
だけど、木造住宅は良いですよ。
古民家に注目が集まったのはそんな側面があるのかも
知れませんね。使い捨て住宅は要らない。
価値のある上物だけが資産価値があがるのかも。
そんな、資産価値を上げられる職人を目指してます。
2010 年 7 月 27 日 8:11 PM
木村さん お久しぶりです。京都の古川です
私と同じような考えの方が結構おられること、非常に愉快です。そういった思いで読ませていただきました。
実は私は、若いころ30年くらい昔になりますが、マイホームを持った経験があるのですが、結局数年して借家に住むのがいい、という結論に達し、その後ずーっとURの団地住まいです。子供が大きくなるにつれて、住居面積の広いところに住む移り、子供が巣立ったら、小さいところに引っ越しすればいいかな、それとも田舎暮らしもいいかな、と思っているところです。
そういうライフスタイルを考えると、持ち家には住めないですね
これは何も強がりではなく、こんな話をみんなに話したりする今日この頃です。
2010 年 7 月 28 日 9:06 AM
「佐菊」さん。匠を志す左官職人ならではのご意見、ありがとうございます。
こう言ってはなんですが、それなりの文化価値を持つ住宅を建て、それを継承していくぶんには「持家」も存在意義があると思います。文化的存在価値です。「文化財」としての価値ではなく、「ああ、日本人の暮らしとは元来こういうものだったんだ」という生活史を振り返るきっかけを提供してくれる文化規範としての価値です。
そうではなく、庶民をそそのかし無理をさせて「夢のマイホーム」を買わせるというシステムがおかしいのです。私が「国是としての持家制度」と言っているのはそういうシステムのことです。
我が国の「住宅減税制度万歳システム」は、サブプライムローンと本質が同じだと思います。
破たんする前に借家の流通市場、借家人による利用価値の向上策を急ぎたい!
2010 年 7 月 28 日 9:10 AM
古川さん。一昨年の亀山市での事業仕分け以来ですね。
さて、コメントありがとうございます。
「若いころ30年くらい昔になりますが、マイホームを持った経験があるのですが」という部分を拝読し、「えっ?」と思いました。とても、30年前に持家を購入されたようなお年には見えなかったように記憶しているものですから・・・。二地域居住ということが言われていますが、それはちょっと贅沢。ライスステージに合わせた移住」とでもいえばいいでしょうか。そういう自由度を束縛してしまうことが、経済活性化の足を引っ張るっという面もあるでしょうね。