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タックスペイヤー・コンセンサス②

投稿日時:2009年02月01日 14:34

タックスペイヤー・コンセンサスはぼくが考えた造語だ。納税者が納得できる税金の使い方をしようという意味である。税は所得の再配分システムだから、累進課税の原則にしたがって、「富めるもの」から多く取り、「貧しいもの」に配分するのが基本である。そのように予算が編成され、そのとおりに執行されることに疑義はない。気になっているのは、予算の編成過程である。自治体の場合、予算編成権は首長にある。首長がその補助執行機関である役所組織を使って編成事務を行う。その過程で首長や役人は様々な「ニーズ」を汲み取り、それを充足すべく予算を組む。「ニーズ」の持ち主は得てして「貧しいもの」である。したがって、「ニーズ」を汲み取るためにその持ち主たる「貧しいもの」の声に耳を傾け、その声に応えようとする。さて、ここまでニーズという言葉をあえて「」書きしてきたが、それにはもちろん理由がある。実はこれらを「ニーズ」と認識してよいものかどうかに疑いがあるからである。ぼくの認識では、ニーズというのは社会的不足状況(あるいは社会的必要)を意味する。それを満たさない場合に何らかの社会的害悪が生じかねないとか、社会的コストが増大するとかいうものである。それでは首長や役人、議会が耳を傾けているのは何なのか。ぼくはそれを「ウォンツ」、言い換えれば住民欲求にすぎないと認識している。困ったことがあればそれを解消したいというのは人情だ。自力で解消できないとなると誰かに依存したくなる。その誰かとは、商品やサービスを売っているお店や会社であったり、学校だったり、勤務先の経営者だったりする。それでも埒があかないと知れば、役所に駆け込んでくる。現代では自力で何とかしようとする前に何でもかんでも税でそれを解消してもらおうとする人も少なくない。隣の犬がうるさいからどうにかしてくれ、なんていう苦情が役所に持ち込まれるのも珍しくない。「犬の糞は買い主が始末しましょう」なんて看板がよくあるが、あれもすべて保健所等の予算で製作・配布されているものだ。「犬の糞をなんとかしてくれ!」という住民も声に対応した措置だろう。こうした苦情が果たしてニーズであると言えるのか。わかりやすい例を挙げたつもりだが、ニーズであると認識することに疑義のある欲求は様々であり、際限のないものなのである。それでは、これはニーズである、と認定する基準はどこにあると考えればよいのか。それが問題となる。そこで登場するのがタックスペイヤー・コンセンサスという考え方である。税をとられる一方で直接的な受益の少ない納税者がどう考えているか。このことはとても重要な基準のひとつになるはずだ。しかし、現在の行政では受益者の欲求にばかり目を奪われており、納税者の意見があまりにも軽んじられている。それが証拠に、受益者の立場から欲求の充足状況を聞こうとするアンケートはしばしばあるが、納税者の立場から税金の使い方について意見を聞こうとするアンケートはほとんどない。今ほど納税者を軽視した行政が行われている時代はないのではないか。100年に一度とも言われている不況期である。生存権を守るためのセーフティネットのあり方が大いに議論となってくるだろう。タックスペイヤー・コンセンサスという考え方の重要性を認識しないままにその議論を進めていくと、納税意欲が大いに損なわれることになるだろう。そうなってしまってはもともこもない。自治体破綻、そして国家破綻である。タックスペイヤー・コンセンサスという考え方はそれほど重要なものなのだ。次回は、この考え方を自治体経営に取り入れようとしている事例を紹介したい。

 

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