HOME > スタッフ・ブログ 「世遊綽々」 > » 2009 » 5 月 » 20

投稿日時:2009年05月20日 09:07
星新一、と言っても20代や30代の若者はあまり知らないかもしれない。ショートショートの神様。SF作家。NHKでも「星新一のショートショート」として番組放送しているから、意外と知っているのかもしれない。大正15年生まれ。平成9年に没した東大卒のインテリ作家である。タモリがストーリー・テラーとしてナビゲートする「世にも奇妙な物語」というオムニバス形式のドラマがあるが、星新一の作品はあの類の原型のようなものだ。今回読んだのは「エヌ氏の遊園地」という文庫本。我が家の書棚でホコリをかぶっていたのを発掘して、「東野圭吾」の箸休めとして何十年かぶりで読んでみた。おもしろいものも、おもしろくないものもある。おもしろいものはすぐにでもドラマ化してほしいと思うほど映像が浮かんでくる。おもしろくないものは、フジテレビの「爆笑レッドカーペット」に出てくる未熟なしゃべくり漫才・コントのようなもので、読み始めた瞬間からオチが見えてしまう。台詞回しは「つげ義春」の「ねじ式」のようにひたすら紋切り口調で、慣れないうちは「この作家、文章が下手なんじゃないか」と思わせるほど徹底している。そこが星ワールドだ。精緻さを極めた構成の中で、台詞のニュアンスにすら「鍵」が隠されている東野圭吾作品の箸休めとしては、ぴったりの読み物だ。
最近のコメント